ひっそりと目立たず、地を這い、可憐な花をつけている野草たちの持っている力は目には見えません。けれども、いざとなると大変な力をすぐさま発揮してくれます。

外傷や炎症、止血などには、昔から野の医者のような役目を果してきた野草たち。皮膚病や痔、腫れ物や捻挫、いぼとりにも優れた働きをします。皮膚は呼吸し、毛穴を通して毒素を出し、体の浄化のために働いています。この皮膚が弱ってアトピー性皮膚炎や、その他の湿疹などに苦しむ例がこの頃多くなってきました。

肉や動物性食品の食べ過ぎ、甘い物のとり過ぎで血液を汚し、体は流れないドブになっています。そんなときは、胃腸も肝臓、腎臓も弱ってしまっています。腸は汚れて流れないから、その処理が肝臓、腎臓の重荷になるのです。それで肝、腎も疲れ切って毒素を流し切れず、溜め込んでしまったのが苦しくなって、第二の排泄口である皮膚から飛び出してくるのです。

ですから、食物を気をつけ、肝、腎をゆでコンニャクなどで温めて手当をしたりして体の中の浄化をしないと治らないのです。傷なども、血液がアルカリ性できれいなら、化膿せずに治ってしまいます。食物を正し、野草、薬草を大切にして生活に生かしましょう。


■クチナシ

梅雨の頃、ほの白い厚味のある花をつけ、芳しい香りを辺りに漂わせて、憂鬱な季節を和ませてくれるのがクチナシです。その名は、秋おそく黄紅色に熟した実が閉じたままで裂け目がないことから、口無しと呼ばれたことによります。

薬効は実に多く、これを庭に植えておくと、鑑賞と薬用を兼ねて大変重宝します。ただし、実をつけないで花だけの木もあるので、実のなる木を選んで下さい。

秋に実が熟したときに、日光でよく乾燥させます。乾燥が不完全だと、カビが生えたり、薬効が衰えたりしますので注意します。この乾燥した実は、漢方では山梔子と呼ばれ、古くは天平時代から布地を黄色く染めるのに使われてきました。今もキントンの着色に使われます。

人体に害のある化学調味料とは違い、自然の色と香りを大切にしたクチナシの実の着色料は、健康上にも大いに役立ちます。実は晩秋にとり、七日以上霜に当て、よく乾燥して保存します。

■クチナシの薬効

1. 消炎
消炎に効きます。腫れて熱を持ち、赤くなっている色々な腫れものに、内服、外用共に用います。内服には、乾燥した実5~8gを一日量とし、煎じて飲むか、または1~2gを黒焼きにして飲みます。外用には、実を粉にして、つなぎに等量の小麦粉を加え、酢で練って貼るとよく効きます。

2.打ち身、捻挫
クチナシの粉(漢方薬店にもある)大さじ2杯、小麦粉同量に対し、卵白小1個を混ぜ合わせると、マヨネーズのように滑らかになります。これを布、または紙に延し、その上にガーゼをのせ、患部に貼ります。乾くので、油紙をして包帯をします。熱のあるときは一日二回位取り替えます。うっ血があると真黒に出てきて、後遺症を残さずに治ります。黒いのがとれるまで湿布を続けます。

打ち身、捻挫には何よりの特効薬です。古傷などが、寒いときや雨季に痛むのは完全に治っていないことが多い訳で、この方法ですると黒く出てきて治ります。打ち身、捻挫などで、そのように残ると、そこから血の流れが悪くなり病気のもとをつくりますから、治しておくことです。

私は生後五ヶ月の頃怪我をして、腰の骨や膝小僧の骨が割れたり潰れたりして歩くのも不自由でした。ところが、このクチナシの湿布で、何十年も前の怪我だ真黒になって出て来ました。いつも痛くて歩くのも不自由でしたが、痛みもとれ、うっ血もとれて楽になったのです。この効果には驚きました。急性のものや、突き指、捻挫などは二日も貼っておくと黒く出てきて早く治ります。

3.膝に水が溜って痛むとき
前述のクチナシの湿布を膝にすると共に、足裏の土踏まずにヒマの種(ヒマシ油のもとで漢方薬店にある)をすり鉢で潰して小麦粉と酢を混ぜ、和紙か布に延して貼っておくと水をとり、腫れがひけて治ります。

彼岸花の根をすりおろして同様に貼ってもよいでしょう。これらは毒ですから、食べたり飲んだりは出来ませんから要注意です。

4.黄疸、肝炎
実を一日10g煎服します。カワラヨモギを4g加えたら卓効があります。

5.不眠症
一日5gを煎服します。

6.喉の痛み、口内炎
実を5g煎じて、その汁でうがいをします。

7.腫れもの、しらくも
実を黒焼きにして、ゴマ油で練って患部に貼ると治ります。

8. 吐血、喀血、子宮出血、鼻血、キノコ中毒
実を8g煎じて飲みます。内臓出血は、熱いものを飲むと出血を誘うので、必ず冷えてから飲むと卓効があります。漢方薬には、この実の入った黄解散というのがあります。これを飲んでも喀血はすぐに止ります。

私も結核で苦しんだとき、このクチナシに助けられました。このように、自然のエネルギーは、化学的な合成品とはまったく違い、生命力を増し、生きる力を心身ともに育てるものです。

【出典】「薬草の自然療法」難病も自然療法と食養生で治そう 東城 百合子著

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